2021年度一般社団法人岩見沢青年会議所

理事長指針 理事長 玉田 尚久

【はじめに】

 17世紀のロンドンでペストが蔓延し、感染拡大防止の観点から家屋閉鎖等の措置が取られた。当時、大学生であったアイザック・ニュートンは、休校によって生じた時間を活用し、万有引力の法則を発見する。後に科学に留まらず、数学や光学分野においても、自ら仮説を立て証明した彼は、その自粛期間のことを創造的休暇と呼んだという。2019年に端を発した新型コロナウイルスでは、世界的に感染が拡大し、これまでの常識が大きく覆された。安全だと思っていた社会の危険さにも人々は気付いただろう。コロナ禍と呼ばれる世の中で、私たちは変化に対応し、スキルアップできたのだろうか。時代が悪い、政府が悪い、会社が悪い。誰かが助けてくれるなんて甘い考えでは、たちまち飲み込まれてしまうだろう。混迷を極める世の中だからこそ、生きるためのスキルを身に付ける時だ。

【青年会議所との出会い】

 私は将来への志望を全く見出せないまま大学を中退し、その後も流れに身を任せたまま、親族が経営している今の会社に身を置いた。それはある種の宿命だったのかもしれないが、会社の中でも徐々に自分の意見が通るようになり、会社を経営していくと考えだした時、自分は今のままで本当に良いのだろうかと思うようになる。そんな葛藤を常に抱えていた時、自信に満ち溢れた若者が大勢の前で演説し、未来に希望を見出している姿に出 会う。その若者は青年会議所の理事長だった。その出会いから8年、青年会議所活動や運動を通じて様々な役職を経験できた。振り返ってみると、上手くいかないことの方が多く、自分一人だけでは何一つ成し遂げたことはなかったが、これまで「ゆあフェス」や「岩見沢トレイルラン」、「なまらバル&マルシェ」や「まちあそび人生ゲーム」など、地 域に大きなインパクトを与えた自慢できるメンバーがJCI岩見沢には沢山いる。私自身、決してアイデアマンではないが、これまでの失敗も含めた経験と感性をアップデートしようとする好奇心だけは誰にも負けない。好奇心は挑戦への原動力だ。2021年度はどこに行っても自慢できるJCI岩見沢メンバーと未来に希望を見出せる挑戦をしたい。

 

【自信を持った若者の創出】

 自らの住み暮らす地域がより良くあってほしいと誰もが思うだろう。しかし、より良く変えるための行動に移すことは決して容易ではない。「青年が積極的変革を創造し開拓するために能動的な活動ができる機会を提供する」とJCIミッションで掲げている通り、 青年会議所は地域の若者が行動に移せるきっかけを創出しなければならない。地域を想い、行動できる若者が1人よりは10人、10人よりは100人に増えれば、地域がより良く発展することに疑う余地はないからだ。それは青年会議所が会員拡大を目指す理由でもある。また、コロナ禍において、企業の大中小に関わらず、安定という言葉が存在しないことは明白となった。過去に捉われ、脱皮できなかった企業は無残にも打ち砕かれていった。まさに今、将来への不安を抱えている若者も沢山いるだろう。青年会議所には、多種多様な人財が在籍している。それぞれの立場で抱えている不安を青年会議所活動や運動で得られる人脈や新しい発想によって、希望の柱へと変えられる学び舎でもある。ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨かれないように、人は人でしか磨かれない。青年期を預けるに値する学び舎での出会いは一生の仲間をつくるだけではなく、人生そのものを力強く生き抜くチカラとなる。行動しなければ変化は生まれないし、経験しなければ自信は育まれない。自信を持った若者が未来を切り拓こう。

 

【一人ひとりが主役】

 これまで私自身も仕事との兼ね合いや一時の感情によって、青年会議所を辞めようと考えたことがある。しかし、その都度、青年会議所で出会った仲間が一緒に考えてくれて、 救われてきた。そんな私が今、自らの意志と仲間からの負託のもと、JCI岩見沢の理事長になろうとしている。新型コロナウイルスの影響で、社会全体だけではなく、計画主義の青年会議所の脆弱さも浮き彫りとなった。半年間向き合ってきた計画が頓挫しただけには留まらず、議論や対話の機会が大幅に減ったことで、メンバー同士の交流も薄くなってしまった。青年会議所活動や運動の起点である会議はWEBで代用できたとしても、心通わせる交流は難しい。また、青年会議所では長年に渡って「進取の精神」が大事だと言われてきた。つまり、青年会議所には成長の機会は沢山あるが、進んで取りに行かないとその成長は勝ち取れないという教えだ。その結果、取りに行けなかったメンバーは取り残され、在籍している価値すら見出せず、辞めてしまったメンバーも中にはいた。私が仲間に恵まれたのと同じように、青年会議所での出会いをもっと大切にしたい。会社に置き換えても、スタッフが進んで取りに行かずとも成長に導ける組織であるべきだ。私は青年会議所がメンバーにとって、理想の会社だと思い、関わって欲しいと考えている。それには、社長だけではなく、全てのスタッフが働きやすく、働きがいがあり、未来を語れる職場が理想である。そうした意識を基にメンバー自身が青年会議所の良い点ばかりだけではなく、反面教師にする点おいても客観的に気付くことで、自ら在籍している会社の組織づくりにもフィードバックして貰いたい。「誰一人欠けることなく、目標に向かってやりがいを見出せる組織」。そう考えると、青年会議所では新入会員は勿論のこと、メンバー一人ひとりに今まで以上に丁寧なフォローと任せるべきところは任せる体制が必要だ。それによって、自覚が芽生え、失敗や成功体験から得られる成長が誰にでも訪れる。青年会議所で出会えた仲間の一人ひとりが主役となり、個性がイキイキと活きる会員交流を実現した い。

 

【好奇心は挑戦への原動力】

 地域を想い、行動できる若者が増えても、周囲の共感を得られなければ、地域の発展には時間が掛かるだろう。掲げた理想がどれだけ崇高であっても、1人で言っている内は所詮愚痴でしかなく、10人に増えればやっと声になり、その声がさらに拡がれば世論となる。地域により良い変化をもたらすには、地域からの共感が必要不可欠だ。これまで青年会議所では、地域課題の解決を目指して、まちづくりに向き合ってきた。地域課題に向き合う中で、メンバー自身の成長にもつながるのがまちづくりであるが、時に悩み考えながらも今日まで続けてこられたのは、そこに全力を注げる好奇心があったからだ。人は「やりたいこと、やれること、やるべきこと」の3つが重なった時にモチベーションが最大に発揮できる。私たち自身がワクワクできる好奇心をくすぐる挑戦が、地域に最大のインパ クトを発揮し、未来を切り拓く運動へとつながる。また、JCI岩見沢は、2022年度に開催される公益社団法人日本青年会議所北海道地区協議会第71回北海道地区大会を主管する。それは道内に46ある青年会議所の中でも、1年に1回、1つの地域でしか開催できない特別な大会であるが、主催である北海道地区協議会が持つ人財や予算のスケールメリットを開催地域のまちづくりに活用できる機会でもある。青年会議所とは、より良い変化をもたらすチカラであり、北海道地区大会とは、大きな変化をもたらすキッカケである。2021年度は、希望溢れる未来を見据え、今まで以上に地域からの共感を育み、地域からの期待に応えるJCI岩見沢へと進化する。

 

【紡がれてきた覚悟】

 1956年11月3日、16名の有志によって、JCI岩見沢は設立された。戦後復興は落ち着きを見せたものの地域経済はまだまだ不安定な中、後世のために立志するには相当な覚悟が必要であったはずだ。その覚悟は時代が移り変わっていく中でも、先輩から後輩へと脈々と紡がれ、地域から得た信頼の積み重ねとともに私たちに託された。それは今でも青年会議所活動や運動の支えとなっている。2021年度、JCI岩見沢は、創立65周年の節目を迎える。日頃から青年会議所活動や運動を支えていただいている先輩諸氏、関係団体、市民の皆さまに感謝の想いを伝えるとともに今まで以上に地域にインパクトをもたらす運動発信の機会としたい。また、1969年から紡がれてきた4JC(JCI美唄、JCI栗山、JCI夕張)との交流も地域の垣根を越えた相互連携を推進し、各青年会議所が新たな可能性を見出せる未来への希望としたい。そして、向き合わなければならない課題がある。多くの先輩諸氏が関わり、作り上げてきた地域の祭りは、担い手が年々減っている。担い手不足はメンバーの負担が増すばかりでなく、祭りの存続自体にも大きく影響する。メンバー自身が心から楽しめ、多くの市民を巻き込める持続可能な祭りが求められる。青年らしい工夫と行動力で地域を盛り上げ、後世へとつなぎたい。

【意志のある処に必ず道はある】

  私はこれまで何度か、人生の分岐点で腹を括ってきた。しかし、結局のところ自分一人では何もできない。共に歩んでくれる仲間が必要だ。今、私の横には多くの仲間がいて、私たちの先には地域の未来がある。2021年度は、過去に縋りつかず、今に縛られず、 未来を切り拓く。強い意志を覚悟に変え、JCI岩見沢の仲間と共に希望溢れる年にしたい。